■秋の味
タイトルの「秋 笑顔 味覚 冬」という言葉のぶつ切り感。〈ひかり〉の利用者さんも大好きな五木ひろしさんの歌にある「横浜 黄昏 ホテルの小部屋」を少し意識したものです（笑）。【小声で言いますと、五木さんの「よこはま・たそがれ」にある「横浜 黄昏 ホテルの小部屋」よりも早く、「海辺 たそがれ ホテルの小部屋」とハンガリーの詩人が詠っています。当たり前ですが、歌の歌詞ではありません。いわゆる詩です】
徒事はさておき、もう冬ですが、少し時計の針を戻して、オープニングの動画は秋の風景から始めてみました。
それから〈ひかり〉で秋から冬にかけて行った美味しいイベントの風景を最後に用意いたしました。秋と冬であれこれを挟んだということです。
美味しいものを食べている人の姿は、見ている方も嬉しくなるから不思議です。美味しいものを食べるというのは、美味しいものを食べている人を眺める喜びも含めてのことなのかなと思ったりします。テレビでグルメ番組が人気があるもの、そのあたりに理由があるのかもしれません。
〈ひかり〉のイベントは、食に関するものが多くあります。職員の中に玄人並みのお菓子作りの名人がいることも理由のひとつだろうと思います。美味しいものを作れる人がいれば、当たり前ですが、美味しいものを食べたくなります。
ですが、料理やお菓子作りには、もうひとつ楽しみがあるように思います。美味しいものを食べるが好き、美味しものを食べている人を見るのも好き、そこにもうひとつ加えるとすれば、美味しいものを作るのも楽しい、ということではないでしょうか。
〈ひかり〉の利用者さんは女性が多く、主婦の大ベテランのような方々です。これまで色々な料理やお菓子を作って、家族と一緒に食べてきたことでしょう。料理やお菓子を作って、家族と一緒に食べて、家族が食べる姿を眺めてと、食べることに関するすべてを体験しておられます。
利用者さんには、食器洗いを手伝っていただくことがあります。とてもきれいに洗って、片付けも丁寧にしてくださいます。さすが主婦の大先輩と職員も感心することしきりです。
もしかすると、皆さんはいま、お菓子を作ったり、食べたり、後片付けをするということを、純粋に楽しんでくくださっているのかもしれない、そう思うことがあります。家族や誰かのためにがんばることは素晴らしいことですが、そこには義務や責任もあったはずです。
今は、そういった義務や責任から解放されて、自分たちの為にお菓子を作り、一緒に食べ、語り合う。利用者さんが、それを人生のご褒美として受け取り、喜びを感じてくださっているのであれば、〈ひかり〉の職員としてともに喜びたいと心の底から思います。
秋から冬に、季節は変わって行きますが、皆で一緒に美味しいものを、作って、食べて、笑顔になる。その楽しみは変わることがありません。
一瞬の喜びが、時の流れに勝っているように思えたりもします。
■食べること――生きる喜び
