〈ひかり〉の小さな菜園の、秋の収穫はジャガイモです。
考えてみると、ジャガイモというのは凄い食べ物です。
ジャガイモはヨーロッパの食糧不足を救いました。以前、何かの本で読みましたが、ヨーロッパでは、ジャガイモが新大陸からもたらされるまで、人が生活していくことが極めて困難だった土地もあるということでした。海の幸・山の幸に恵まれた日本ではなかなか考えられないことです。
ジャガイモ。フランス語では「大地のりんご」。あのゴッホにも「馬鈴薯を食べる人々」という絵があります。
欧米の主食はパン、と考えがちですが、日本人のお米の感覚で言うなら、パンよりも断然、ジャガイモだそうです。
野菜を育てて収穫する。それはとても楽しいことです。特に、コロナで外出がままならない〈ひかり〉の入居者さんにとっては、ほんの小さな菜園であっても、外に出て、何かができる喜びというのは、やはりなにものにも代え難いものがあります。
農業としての野菜作りは、厳しいものがありますが、ご高齢の方が、余暇に楽しむ分には、厳しいはずもなく、ひとつの娯楽、高齢者グループホームにおけるリクリエーションとして重要なプログラムに位置付けられます。
栽培といっても職員が多くの部分を行い、入居者さんは収穫部分だけを担当してもらうことになります。
だから、これは職員が育てたジャガイモ――ということにはなりませんし、私たち職員はそんなふうには考えません。
これは私たちと入居者さんが一緒に育てたジャガイモです。
だからこの収穫は、レクリエーションというよりも、やはり収穫です。だから、この笑顔です。
■笑顔の収穫