【グループホームでの日常 ♯6 Y氏の場合】

【AM 7:20】
通所先の迎えを待たれる間、リビングで寛がれているY氏。
「知ってると思うけど、ええもん見せたろかっ」
と、私に話しかけられる。
「ええもんって。なになにっ。珍しいお菓子ですか?」と食いつく私。
おもむろに、袖をまくり上げ、見せてくれたのは…

「これやっ。これ。」と、赤い腕時計。(≧▽≦)
残念、お菓子じゃなかった…。
でも、私でも知ってるよ、コレって
「アレ」でしょ。と、マジマジと見せて頂くと、

カ〇オのGショックに見えるけれど、う~ん。ちょっと違うかな?
「これやっ。誕生日に買うてもろたんや! 妹に!!」と興奮気味の彼に
私が、「いつの誕生日に?」と尋ねると、
「えっとな~。う~ん。63の時やったで。」と笑顔で教えて下さいました。
が、、

「あれから妹とは会うてないけどな…。」
と、急に寂しそうな表情で、ホーム外の散りゆく落ち葉を眺められていました。

御年73歳の彼。
妹さんとの大切な想い出がつまった10年モノの大切な腕時計。
そんな記憶を毎日左手につけて仕事に励まれています。(´ω`*)
10年、20年後も彼の腕時計が時間(とき)を刻んでいますように…。