〈認知症相談〉家族と一緒に

 このブログは、高齢者グループホーム〈ひかり〉での支援を通じて、私たちが学んだことをお伝えするために書いています。

おさらい
 前回のブログでは認知症の方は不安にさいなまれているということを書きました。その初期段階において、わからないこと、できないことが増えていく、恥ずかしいという思いもある、かといって相談もできない――そこに厳しい言葉がかけられれば、ストレスがかかり、精神的に不安定になり、怒りが抑えられなくなったり、幻覚や幻聴、妄想が生まれたりする。
 だから本人を傷つけないことが何より大切だということ。相手の思いを理解して、傷つけるような言葉は避け、否定的な言葉は使わずに、と前回のブログで書きました。
 ですが、仕事として認知症の方の支援をしている私たちならいざ知らず、生活を共にするご家族の方にとって、そういった対応をすることは非常に難しいということも理解しています。

1.職員と家族の違い
 これは何度も書いたことですが、仕事として認知症の方の支援をしている私たちと、家族として一緒に暮らしている方は違います。認知症の方にしてはいけないことがある、といっても家族の方には難しい場合があります。

・施設職員は8時間だけを共にする。しかし、ご家族は24時間起居を共にしている。
認知症の方と行き違いがあった場合、ご家族では対応する人を変えることができない。
・家族間のことでもありどうしても冷静でいられないときがある。
認知症は病気だとわかっていても、家族としてはつらい。

 例えば認知症に関する知識は、学べばある程度分かります。ですが、学んでわかることと実際に体験してみて理解することには大きな違いがあります。認知症グループホームで働く私たちは、色々な認知症の方と会ってたくさん経験を積んでいます。認知症の方のいろいろな状態を知っています。
 これまでのブログで紹介させていただいたBPSDと呼ばれる状態の多くを経験して、そして対応して、どういった場合でもある程度冷静さを保てます。私たちと家族の方との違いは、非常に大きいと言えます。

2.基本的な対応
1)ひとりで抱え込まない
 これが基本です。職員と家族の違いの部分でも書きましたが、行き違いがあったとき職員は交代する、と書きました。どれほどベテランの職員でもうまくいかないことがあります。職員の失敗のひとつに、いつもこのやり方でうまくいった、というものがあります。機械ではありませんから、昨日うまくいったから今日もうまくいくということではありません。昨日までのやり方に固執しがちなのは、少し慣れてきた職員に多いように思えます。ベテランは、さっさと別の職員にバトンタッチします。

2)パターンで考えない
 固定観念で考えないということです。あなたのご家族に、ほかの事例がそのまま当てはまるわけではありません。あの人がこうなったから、うちのお母さんも(あるいはうちのお父さんも)、ということはありません。ですので、将来に不安を感じた場合は、医療機関、あるいは福祉関係者に相談してください。

3)相手よりも自分
 自分がまず冷静でいることが大切です。行き違いがあれば、一生懸命支援しているあなたに対して認知症のご家族は強く非難する言葉を発するかもしれません。しかし、それは嫌悪や憎しみからではなく、病気だからです。逆説的ですが、あなたを信頼していればこそ、強い口調で攻める、ということもあります。もちろん、言われる側にとってはストレスです。思わず売り言葉に買い言葉、ということもあると思います。あなたも人間ですから常に冷静ではいられません。
 もう一度申し上げますが、認知症は病気です。あなたの心を打ち砕くような罵りの言葉も、あなたの言うことをまるで聴こうとしないその態度も、すべてが病気です。
 病気の方に冷静さを求めることはできません。だから、相手よりもまず自分。自分自身が冷静でいることが大切です。
 では、どのようにすれば冷静さを保てるか。これは非常に難しい問題ですので、またあらためて説明させていただきます。

3.やってはいけないこと
 認知症の人に対して、やってはいけないこと、しない方がいいことがあります。

①その人が信じている現実を否定すること。
②プライドを傷つけること。
③慌てさせないこと。
④大きな声を出さないこと。
⑤伝えたいことは簡単にいうこと。
⑥指示的にならないこと。何々をして、というような言い方はしない。
⑦子ども扱いをしないこと。
⑧自分でしようとしていることを取り上げないこと。

 ほかにもありますが私たちはこういったことに注意して日々の支援をさせてもらっています。行動を制限するというのは、いろいろなバリエーションがあります。ですが、支援者である私たちにとって、それは身体拘束に当たります。絶対にしてはいけないことですので、ここに入れていません。

4.まとめ
 家族の方に申し上げたいのは、とにかくひとりで抱え込まないことです。相談をしてください。
 下記URLは名張市のホームページにある認知症相談窓口です。もちろん、このブログにある「認知症相談」のフォームから問い合わせをいただいてもかまいません。

https://www.city.nabari.lg.jp/s031/090/090/201502052266.html

 

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