〈ひかり〉明日の思い出

 今を楽しく生きることは、いくつになってもとても大切なことです。楽しむことは、心身の健康にとても良いといいます。また、それは、今この瞬間だけのことではなく、将来にわたってのこと――と、私たちはそのように考えています。
 今日の出来事は明日の思い出です。それを思えば、今日に楽しい思い出を残しておくことが、どれほど大切かお分かりいただけると思います。
〈ひかり〉は認知症高齢者の方々が暮らす場所です。
 だったら過去のことは忘れてしまうのでは?
 と考えがちです。それは大きな間違いです。確かに過去のエピソードは忘れてしまいます。しかし、そのときの感情は豊に残ります。実はそこがとても重要なのです。
 ここはとても大切なところですので、もう少し詳しく説明をさせていただきます。

 確かに、認知症が進行すると具体的なことは忘れます。記憶を保持しておくことができなくなります。私たちが事実として認識するような過去の出来事は、記憶にとどまりません。しかし、その時に感じた感情は残ります。失敗したことは忘れても、失敗をして怒られて怖かったことや、恥ずかしい思いをして悲しかったという感情はしっかりと残る――ですので、入居者さんの人格や尊厳を傷つけるような発言は絶対にしてはいけないし、何気ない発言ひとつをとってみても、注意しすぎるということはありません。

 だから、入居者さんに今日を楽しく過ごしていただくことはとても重要だということです。今日、楽しかったことが何だったのか仮に忘れてしまっても、その楽しかった感情を、私たちは大切にしたいと考えています。
 楽しかった思い出はたくさんあります。
 夏のかき氷。シャクシャク、シャッシャという氷を削る音。
 小さな庭に作ったメロンやスイカ
 敬老の日に行なった『ひかり音楽祭』――あのときは利用者さんに着物を着てもらい、得意の歌をうたっていただきました。職員も、普段めったに見られない格好で、懐かしのキャンデーズナンバーを熱唱しました。
 それから師走になり、右に左に慌ただしく動き回る職員の姿も、それはそれで楽しかった。
 お正月はいつもの、〈ひかり〉の中の初詣。頭に国旗をあしらい、太鼓を叩く賑やかな職員や、恒例の巫女さんも登場して、おめでたく新年を寿ぎました。
 それから「哥」のある日々の様子。カラオケ教室という利用者さんたちの合唱。
 新しく〈ひかり〉に来られた入居者さんのインタビュー。
 その他諸々……
〈ひかり〉では、日々、(楽しい)明日の思い出を作っています。
■ブログ動画 明日の思い出

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