〈ひかり〉目的と意味についての考察

目的と意味についての考察

 タイトルはずいぶん厳めしいですが(笑)、内容は当たり前のことです。
〈ひかり〉で施設サービス計画書を作る(もちろん、私ひとりで作るわけではありませんが)介護支援専門員をしている私が、忘れてはならないと肝に銘じていることのひとつが、このタイトルにある「目的と意味」について考えるということです。
 それはもちろん、利用者さんの支援に関する「目的」と「意味」なのですが、こんなふうに書くと、〈ひかり〉ではいまさらそんなことを言っているのかと誤解をされそうで、ちょっと怖い気もします(笑)。もちろん、そんなことはありません。
 ただ、この問題は、私にとって(そして、多分〈ひかり〉の他の職員さんにとっても)とても難しい問題で、うっかりしていると見失いそうになることもあり、再確認の意味で今回のブログのテーマとさせてもらいました。
 実は、今回のブログでは、別のテーマを考えていたのですが、それは次回に。

 

 たとえば、夜眠らない(眠れない)利用者さんがおられたとします。あくまでも仮の話で、実際にそういう方がおられるということではありません。不眠に対して、医療的な対応が必要な場合はもちろんありますが、今回は仮定の話、寓話的なものですので、それは脇において考えてみます。
 職員からすれば、眠らない利用者さんには、やはり眠ってもらいたいものです。この場合の支援の目的は、《利用者さんに眠ってもらう》ということになります。
 すると、夜眠れないのは、昼寝をするからかもしれないということになり、昼間は絶対に眠ってもらわないようにしようということになったりします。そういった支援の是非については、今回のテーマではありませんので、深くは触れません。
 しかし、なぜその利用者さんに眠ってもらわなければならないのかという点を深く掘り下げて考えてみると、その方が眠るかどうかとは別の問題が見えてくることがあります。
 不眠でも構わないということではありません。夜眠るということは、言ってみれば当たり前のことで、健康上大切なことです。
 ですが、それが恒常的な不眠ではなく、眠るときもあるし、眠らないときもあるというような場合はどうでしょう。そういうことは私たちにもあることです。利用者さんだから、施設で暮らしているから、眠らない夜があってはいけない、夜は何があっても眠らなければならないというのは、乱暴な話だと私は思います。

 職員が、利用者さんに眠ってもらいたいと考えた理由に話を戻します。
 掘り下げて考えてみて、その利用者さんが夜眠らないことで、他利用者さんの支援に影響が出る場合があるからというのが理由なら、眠りたくない利用者さんに眠ってもらうことは、果たして本当の目的なのか、ということです。
 眠らない利用者さんがいる。その利用者さんが眠らないということで、何らかの影響を受ける利用者さんがいる。そういった場合、影響を受けている利用者さんの支援内容を見直すことで、ひとつ問題が解決するかもしれません。
 すると、たまたま眠りたくない利用者さんがいたとしても、その利用者さんと共にする時間が確保できる、眠らないなら眠らないなりの支援ができるかもしれません。そうであれば、昼寝をしたい利用者さんに無理に起きていてもらう必要はなくなるかもしれません。

 具体的な話に置き換えてみます。たとえば夜間のパット交換を定期的に行わなければならない利用者さんがいて、ある利用者さんが起きているために落ち着いてパット交換ができない。だから眠ってもらわなければ困る。そういうことであれば、パットサイズを変更し、パット交換の回数を減らし、空いた時間を眠らない(眠れない)利用者さんの対応にあてる。
 繰り返しますが、現実にそういうことがあるということではありません。

 私が忘れないようにしたいと考えていることは、支援の目的を簡単に決めてしまわないということです。
 利用者さんは1人ですが、様々な要素、生活歴や生活環境等を背負った、適切な表現かどうかわかりませんが、複雑な存在です。施設内における人間関係、職員の対応や他利用者さんとの関係も、そこに加えることができると思います。そういった様々な要素が利用者さんの行動を決定しているのであれば、支援はその利用者さんだけの問題ではなく、全体を見て考える必要があるのではないでしょうか。
 個々の利用者さんが持っている複雑な要素を考慮して考えると、最初、それが目的のすべてのように思えていたことが、実は本当の目的ではなかった、あるいは今解決すべき問題は別のところにあったということに気づく、そういうことはよくあることではないでしょうか。
 その場で思いついたような目的を即受け入れることをせず、その目的について、あらゆる角度から考えてみる。それが支援の「目的と意味」について考えてみることなのではないか。そのように考え、そのようにありたいと、私は考えています。

 さて、今回の動画ですが、職員が日常的に目にする風景を集めてみました。何気ない光景から、どんな意味を読み取るか、何を発見するかで、支援も変わってきます。ありふれた光景をしっかりと見ること、ありふれたものについてしっかりと考えること、それはとても大切なことだと自分に言い聞かせています。
 しっかりと見ていれば、ありふれた光景も、また別の光景に見えてくることがあるような気がします。

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