名張育成会が運営する児童発達支援センターは、支援を必要とする0歳から18歳までの地域に住む子ども達が通う施設です。
相談支援専門員、保育士、臨床心理士、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士のスタッフが在籍しており、各種の専門的な様々な視点から子ども達を支援しています。
前回のブログでは、療育での新しいクラスに向けて子ども達のマークの準備や季節に合わせた壁面の紹介をしました。
今回は子どもたちひとりひとりにある「マーク」についてご紹介します。
子どもたちの発達は、体づくりがすべての基盤になります。
体が上手にはたらくようになることで、やがて興味のあるものに自分からふれる事ができるようになります。触れる・触れてもらう経験を重ねて自分の体を知り、子ども達は自分という存在を認識していきます。
そこで少しづつ自我が確立していくこの時期にマークをもらう事で、マークが自分のものを示し自分の場所を教えてくれるものになっていきます。そしてお友達のものや場所も教えてくれるものになります。
どれみではこのマークはタオル掛け・食具入れのかご・おむつや紙パンツを入れるかご・朝の会のプレイスマット・下駄箱についています。
このマークはどれみを卒園するまで変わりません。環境の変化に敏感などれみの子ども達は、変わらないマークによって安心感をもち、自分の場所や物としていつも確認する事ができます。
朝、登所すると子ども達はお母さんやお父さん、おばあちゃんやおじいちゃんと一緒にマークを確認しながらタオルかけや食具のセット等を行います。
「〇〇(マーク)のところにかけるのよ」
といった親子でのやり取りや
「〇〇ちゃんはこのマークだから朝はここにタオルをかけるのよ」
といったお母さんからお父さんやおばあちゃん・おじいちゃんへの伝達をされている姿もあります。1つのマークから子ども一人のものだけではなく、みんなで共有できて、そこからたくさんのやり取りが生まれます。
私たち職員も「気に入ってくれるかな?」とマークを使ってくれている子どもの顔を浮かべながら準備をしています。
どれみのマークは、毎年卒園すると、次年度の利用を始めてくれる子ども達へ引き継がれています。
4月の療育準備の時期はマークをみると以前使っていた子ども達の顔を思い出します。
「ランドセル背負って小学校に行っているんだろうなぁ」
「何年生になったんだろうか。あの時は小さかったなぁ」
と思いを馳せながら準備をしています。
先日、学生となったある子どもさんがどれみに来てくれた時には、廊下で自分が使っていたマークを見つけて「これ。しってる。」と懐かし気に笑みを浮かべて伝えてくれました。
人や環境が変わっていても変わらない物がある安心感と自分がいた証しがある事に喜び、気付く事ができる。
またひとつ子ども達の成長した姿をみることが出来ました。
新たに子ども達を迎える4月に感じた子ども達にも大人にも大切なマークのお話でした。