〈ひかり〉 ルポ 第一回 ひかり音楽祭

 懐かしく やがて哀しき 夏祭り

 と、いう句があります。有名な誰かが読んだ句ではなく、ある劇画作品の中に、さらりと登場します。
 事情があってお祭りに行くことが出来ない子供がいます。子供はある日、道に落ちていた狐のお面を拾います。すると遠くで祭囃子が聞こえたような気がします。子供は拾ったお面を大人になっても大切に持っていて、あるとき箪笥の奥から取り出し、じっと見つめ、自問します。故郷の夏祭りとは、それほどに忘れがたいものなのだろうか。そして一掬の涙を流します。
 何とも泣ける話です。ちなみに作者が元にした句は、

 おもしろうて やがて哀しき 鵜舟かな

 という松尾芭蕉作の句だろうと思います。こういうのは盗作といわず、オマージュといいます(笑)。
 それはさておき、8月28日(金)13時45分、過ぎた日の夏祭りの感傷に浸る間もなく、賑やかな『第一回ひかり音楽祭』が〈高齢者グループホームひかり〉で開催されました。
 まずこの写真です。
 混沌とした、でも楽しい雰囲気を感じていただけますでしょうか。

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 ひかり音楽祭の最大のテーマはとにかく楽しむこと。音楽であってもなくても、ukulelen.であってもなくても、とにかく最大限に楽しんで時間を過ごす。これです(^^♪

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 まずはウォーミングアップを兼ねて皆さんの好きな曲をギターの伴奏で歌いました。
 ほんの小手調べのつもりで始めたのですが、皆さんの大好きな『岸壁の母』。この曲の盛り上がるセリフ「又引き揚げ船が帰って来たに、今度もあの子は帰らない……」を、情感たっぷりに浴衣姿の女性職員が語り、入居者さんからやんやの喝采を受けました。芸達者はどこにでもいるものです。

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 ウォーミングアップも終り、いよいよukulelen.登場です。
 女性職員はきらびやかなモールの冠を被り、人によっては浴衣を着て、入居者さんは打楽器を手に、練習してきた歌を歌いました。
 ukulelen.の掲げる目標は楽しく弾いて楽しく歌うことですが、もうひとつ重要なテーマがあります。ウクレレは誰でもすぐに弾ける簡単で楽しい楽器であるということを身をもって示すこと。

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 ukulelen.が、緩くのんびりと活動を始めてひと月ほどたちます。それまでウクレレに触れたこともなかった皆が、とにかく入居者さんの前で数曲、披露できるまでになりました。ukulelen.の規約は厳しい練習を禁じていますので、この一ヶ月は、本当に何となく、入居者さんと一緒にゆるゆると練習――という意識さえ持たずにのんびりとやって、この成果です。
 いかがです。誰でも弾ける。
 嘘ではないでしょう(笑)。
 正直なところ、一曲だけどうしてもうまくリズムを刻めない曲がありました。だから披露するのをやめようとはなりません。まあなんとなく雰囲気でやってみるか、とやってしまえるところがウクレレの凄さ、ukulelen.のゆる楽しいところです(^^♪

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 最後は、夏祭りの定番盆踊り大会です。リビングでの盆踊りですので、さすがに櫓を立ててとはいきません。で、櫓のミニチュアを置き、その周りを入居者と職員が一緒になって楽しく踊り、第一回のひかり音楽祭は終了しました。

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