愛はメロディー、リズムは命。
そう歌ったのは上々颱風(シャンシャンタイフーン)というユニークなバンドです。メロディー(ハーモニー)とリズムの関係を、うまく表現しています。凄いですよね。紅龍という方が作詞作曲をしましたが、この方は名曲をたくさん書いています。
個人的な見解ですが、リズムというならやっぱりフラメンコ。このジャンルは本当にリズムが命です。フラメンコには特有のリズムパターンがいくつもあって、そのリズムパターンさえ崩さなければ、後は何をどう演奏しても自由、みたいなところがあります。だから、フラメンコをジャズに仕立て直すことも可能です。
で、この写真――職員はウクレレでハーモニーを奏で、入居者さんはリズムを刻んでいます。ハーモニーとリズム、このふたつが揃うと音楽は、よりいっそう楽しく、明るく、時に重厚にさえなります。
高齢者グループホームひかりは、いままさに『第一回ひかり音楽祭』に向けた準備の真っ最中です。
ギロを楽しそうに演奏する入居者さんがいます。なぜかよくわかりませんが、この方にはいつもギロをお渡ししてしまいます(笑)。とってもギロの似合う方です。
ギロの演奏方法は木の棒でギザギザのボディを擦ります。長く引っ張れば「ギー」と鳴って、短いときは「チャッ」と鳴ります。
ですので演奏は、
ギー・チャッチャ ギー・チャッチャ ギー・チャッチャ ギー・チャッチャ……
と、なります。
ひかりの皆さんは歌うことも好きですが、打楽器も大好きです。
太鼓、タンバリン、カスタネット、ギロ、ウッドブロック、トライアングルなどなど。ひかりでは各種鳴り物を取り揃えています。入居者さんにはその日の気分で楽器を選んでいただきますが、何となくわたしはこれが好きというものが決まってきます。
ギロの方と同じように、タンバリンがとても似合う方がおられます。この方はただ似合うだけではなく、音楽的にもかっこよくタンバリンを演奏されます。
本当に好きなことは練習という概念を忘れさせる。
そう書いた有名な作家がいます。息子にサックスを買い与えたときのエピソードについて書いたエッセイの中に出てくる一文です。なるほどと思いました。サックスが心底好きなら、練習そのものが絢爛たる演奏だということです。
いまのひかりは、まさにそんな感じです。日々楽器に触れることの目的は、一応『第一回ひかり音楽祭』の練習ということですが、練習がすでに楽しい演奏会でありレクリエーションです。
音楽は脳の活性化、健康維持に有効だと言われます。しかし、ここが肝心なところですが、音楽は健康目的のために存在しているわけではありません。音楽は元々楽しく、その楽しさが結果として体にも良いということです。健康のために、などと思って音楽をしてもたぶん楽しくないと思います。余計なことを考えずに、音楽に没頭する。ギロを引っ掻き、タンバリンをたたき、ウッドブロックから出てくるリズムを体で感じる。気がつけば日々楽しく健康に生きている。理想です。
言葉はメロディーです。体を動かすことはリズムを刻むことです。
入居者さんが唄を歌い、リズムを刻む。
職員のウクレレはハーモニーを奏でる。
唄とハーモニーとリズムが一体になってわくわくしてくる。
ひかりにとって祭りの準備は、それ自体がもうお祭りです。