〈ひかり〉鍋の季節

「冷たい手やな」
 入居者さんが、出勤してきた職員の手をぎゅっと握り、優しく仰ってくださいます。

 一気に冬が来た。そう思えるほどに寒い季節になりました。手が冷たく、白い息が舞う季節。〈ひかり〉のなかは空調が効いていて、温度は常に一定に保たれています。入居者さんは職員を通じて季節を感じておられるのかな? そんなことを考えたりします。

〈ひかり〉では、季節ごとに壁飾りをかえています。たとえば春なら桜、夏なら花火、秋なら紅葉、そして冬、11月はもちろん『鍋』です。寒い時期の鍋は最高です。
 と、言うわけ9人の入居者さんそれぞれの、好みの鍋を壁飾りとすることにしました。
 さて、鍋です。鍋、と一口で言っても本当に様々です。その人の好みがこれほどはっきり出る料理も、もしかしたら珍しいかもしれません。具材がぎっしりと詰まったお腹いっぱいになりそうな鍋、適度に隙間があるちょっと粋な感じのする鍋等々。ちなみにわたしが好きな鍋は、めったに作ることができませんが、『小鍋立て』です。興味のある方、調べてみてください。
〈ひかり〉の鍋。魚、野菜、エビ、キノコ。考えてみると鍋の材料というのはそれほど変わるものでもありません。

 でも、それぞれに個性がある。みなさんのわたしの好きな鍋には個性があります。魚、野菜、エビ、キノコ等々、それらのイラストに色をつけるとき、
「これ何?」
イカって何色にしたらええの?」
カニはやっぱり赤やなぁ」
 皆さんの頭の中では、とても美味しそうな鍋が、湯気を立てているのかもしれません。

 入居者さんが書いてくださった壁飾りを見るたびに、今夜は鍋を食べたいなあと思うわたしがいます。

■〈ひかり〉鍋の季節

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