〈ひかり〉わたしがこの仕事を続ける理由

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  今回のブログはいつもの書き手によるものではありません。テーマが先にありました。私たちはどうしてこの仕事をしているのか? 巷間離職率が高い言われるこの仕事を続けているその動機を知りたく、職員に話を持って行きました。
 最初、私は、まとめてもらった、気持ち? 思い? そういったものをリライトしようと、そんな不遜なことを考えていました。
 しかし、一読してそんな失礼な気持ちは吹き飛びました。見事だと思いました。文章の技術云々ではなく、自分の思いをここまできちんと書いていただいたのなら、私などが手を加えて、壊してしまことはない。だから、ほぼそのままブログに使わせていただきました。
 そのことを皆さんに知って頂きたく、この一文を添えさせていただきます。

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 突然ですが皆さんは「介護」の仕事にどの様なイメージをお持ちでしょうか? 
 今後成長が見込める業界だという方もいれば、キツイ仕事だと感じる方、人によって感じ方は様々だと思います。介護の仕事は、よく3kだと言われることが多く、もしかしたらネガティブなイメージをお持ちの方もおられるかもしれません。
 しかし実際に働いてみると他では味わえない楽しみや喜び、魅力があります。
 そこで今回は、

①私がどうしてこの仕事を選んだのか
②実際に働いている中で感じた事
②介護の仕事で得たもの、魅力

 この3つを皆さんにお話ししたいと思います

■どうしてこの仕事を選んだのか
 キッカケは本当にシンプルで、転職を考えていた時に介護福祉士の母親からこの仕事を進められたからです。そしてまず初めに私がした事は、人と差を付けたい。知識を得たい。といった理由から実務者研修を取る事でした。そして実務者研修を取得後、すぐにこの業界に就職しました。

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■実際に働いている中で感じた事
 いまわたしが勤務しているのは「認知症対応型共同生活介護」、グループホームと呼ばれる施設です。ここに入っておられる方は主に認知症の方たちです。
 認知症と一口に言っても、本当に皆さん様々で、ドラマなどで役者さんが演じておられるようなものではありません。
 一言で言えば、それまで何を大切にして生きて来られたのかが認知症の症状の中で色濃く表れる事があります。だから、人ぞれぞれです。ここに来たばかりのころのわたしには理解が追いつかず、本当に大変でした。
 この仕事をしてから一年半程度ですが、ようやく対応出来るようになってきたのは、本当にここ半年位で、それまではどうしていいのかわからず、途方に暮れることが多くありました。

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 この一年半で学んだことはたくさんありますが、そのなかのひとつに『一生懸命になりすぎないこと』があります。
 自分一人で何とかしないとと思ううちに、どんどん必死になってしまい、そのうち余裕がなくなります。余裕が無くなるとそれが態度に出ます。
 利用者の方たちは、わたしたちが思っている以上に、人の気持ちを敏感に感じとる事ができます。わたしたちの気持ちを感じ取り、わたしたちの気持ちに応じた行動をとられることがあります。
 無理をせずに、利用者さんを受け入れることがやはり大切です。でも、これはとても難しいことで、正直、今でうまくできているかどうか自信がありません。

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 利用者さんが「家に帰りたい」と言ったとします。もちろん、家には帰れません。そんなときは、
「あと何分で迎えのバスが来るのでそれまではゆっくりしませんか?」
 というようなにお話をさせてもらいます。自分の思いを否定されなかったことで、それで落ち着いてもらえることもあります。
 でも、その後が大切で、納得されたから大丈夫だろうとそのままにしておくのはNGです。ここでそのままにしておくと、数分後には再び帰りたいという思いが浮かんできます。声掛け+a(気が紛れるような何か) をする。
 そうすることで不安や心配を少しでも取り除く事ができる場合もあります。まず、その方の安心していただくことが大切だということが、最近ようやくわかってきました。

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■介護の仕事で得たもの
 日々の支援の中で大変だなと感じることも多々ありますが、その方その方の行動の奥にある苦悩や寂しさ、純粋さに触れた時、支援者として考えさせられる事が沢山あります。
 支援方法を他職員と意見交換し、各利用者様へのベストな介助方法を考え、その方がその方らしく生活が出来るようなお手伝いを出来た時、達成感と自分たち支援者の接し方次第で利用者の方たちの生活が充実していくんだなという喜び。これは他の仕事では味わえません。
 この仕事は高齢者の健康や命に直接関わり、私たちは高齢者の暮らしに大きな影響を持つ存在です。それを理解したうえで支援をするという事。これが大切だと働いていて感じたことです。

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 私がこの仕事を始めて一年半少し……。
 この間に3名の方とお別れしました。皆さんそれぞれとの思い出がありますが
 その中でも忘れられない方が1人います。その方は私たち職員の傍に常にいた方で、何をするときも一緒でした。当時わたしが一番対応に苦労した方です。
 毎日、どう対応しようかと思い悩んでいたのに、どんどん弱っていき食事もできず、声掛けをしても目を開けられることなくベッドで苦しそうな表情をされている姿を目にしたときは、本当に何ともいえない気持ちになりました。
 そして病院に搬送された数日後、息を引き取られました。
 そのときの大きな喪失感は今も胸の中に残っています。
 その方に何かしてあげれる事はなかっただろうか。あの時こういう支援をしてあげれていたら、と後悔ばかりです。
 その別れから学んだ事はかけがえのない財産であり、まだ若いわたしにとって利用者さんは、こういう言い方がいいのかどうかわかりませんが、人生を教えてくださる大先輩でもあります。
 最後になりますが、私がこの仕事を続ける理由ですが、一言では言えません。今でも苦労することも多く、喜びもありますが、それ以上に悩むことも多いです。でも、この仕事から離れることはできません。
 苦労を重ねて、達成したときのほんの一瞬の喜びや、あの時の後悔を次の誰かに届けようとする思い、そういったことがこの仕事を続けていく理由なのだと、最近は思うようになりました。

■お菓子と幸せ

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